細 胞 診
  細胞診とは、運悪く、お家あるいは病院において「できもの」が発見された際、「まずはとってみましょう」とすぐに手術にすすむのではなく、全身麻酔をかけることなく、「できもの」をスライドにこすりつけて、あるいは針で刺して顕微鏡にてその細胞を診断し、その「できもの」がなんであるかを検査する方法です。

な に が わ か り ま す か ?
 その「できもの」が「炎症 」であるか「腫瘍」であるか「脂肪の塊」であるいか「過形成」であるかを判断します。多くの場合、この4分類は行えます。腫瘍には悪性と良性、いずれにおいても上皮性と非上皮性、独立細胞腫瘍の3つに分類されます。お腹の中の場合には、超音波エコーガイド下にて、針をさし、その塊がどんなものであるかを判定します。

検 査 は 痛 い で す か ?
 痛みは部位によります。当院の場合、細胞を十分に採取するには21Gという太さの針を用います。こちらを刺した場合、痛みを伴う場合もありますが、多くの場合、ペットはあまり痛みを感じることなくすみやかに検査は終了します。

悪 性 or 良 性 の 判 断 は 行 え ま す か?
 行える場合と、行えない場合があります。完全に「AAA」という腫瘍ですと言い切れる場合と、「上皮性の腫瘍です」といった曖昧な場合、あるいは「BBB癌です」と言い切れる場合や「50%悪性を疑います」といった表現を用いることがあります。

結 果 が 出 る の に 時 間 が か か り ま す か ?
 院内で判断できるものであれば10分少々で判断ができます。病理医(顕微鏡診断医)の意見を併せて考慮する場合には、3〜4日かかります。

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C - K I T 遺 伝 子 変 異 検 査  

犬猫に多発する(特に犬)肥満細胞腫(以下 MCT)という腫瘍があります。犬猫のMCTの一部はC-KIT遺伝子の変異が原因となっています。この検査ではC-KIT遺伝しないのある特定部位の変異(エクソン11)を検出します。つまり「C-KIT遺伝子変異陽性」と判定が出た場合には、メシル酸イマチニブを服用するだけで高い効果を得ることができます。

MCTはGRADEによってまったく異なる病気と考えることが必要です。MCTだからといって安易におおきなマージンを確保した手術をしてしまった場合、切除した腫瘍は病理組織学的検査によってGRADE1と診断されてしまえば、過剰な手術によって痛い思いをさせてしまったこととなります。またMCTは切除しにくい趾端や肛門周囲、陰茎近辺にできやすいのですが、「足先だから断脚」という選択は間違ってはおりませんが、できることならば残してあげたいというのはすべての方々が思うところでしょう。

C-KIT遺伝子変異陽性の場合には、イマチニブの服用のみで治療をすすめてまいります。他の抗癌剤と異なり、副作用はほとんどありません。また当院ではジェネリック薬品のイマチニブをご用意しております。

検 査 法
 当院では切除法あるいは吸引法を用いて検査いたします。検査法については下記の「症例」にあるような方法にて診断および治療をすすめていきます。

症例1:局所麻酔でとりきれる場合
    局所麻酔にてMCTを摘出して腫瘍を二分割し、病理診断(GRADE分け)を行います。GRADE1であれば、治療は終了で す。GRADE2以上で、オーナー様がC-KIT遺伝子変異検査をご希望であれば、検査を行います。判定結果が陽性であればイマチニブの治療を行います。

症例2:全身麻酔でないととれない大きさの場合
       下記ご希望にそって診断および治療をすすめます。

方法①:局所麻酔にて一部を切除し病理診断(GRADE分け)を行います。GRADE1であれば、全身麻酔にて腫瘍を切除します。GRADE2以上であれば吸引法(無麻酔にて腫瘍を何度か穿刺吸引する)にて細胞を採取します。あるいはイマチニブによる治療をご希望でない場合には下記「※」の治療法を選択していきます。オーナー様がC-KIT遺伝子変異検査をご希望であれば、検査を行います。判定結果が陽性であればイマチニブの治療を行います。

方法②:全身麻酔によって、GRADE1であることを想定した最低限の腫瘍摘出を行い、半分を病理診断(GRADE分け)に使用し、半分を冷凍保存します。GRADE1であれば治療は終了です。GRADE2以上でオーナー様がC-KIT遺伝子変異検査をご希望であれば、検査を行います。判定結果が陽性であればイマチニブの治療を行います。陰性であれば、下記「※」の治療法を選択していきます。

「※」イマチニブによる治療をご希望でない場合。
  MCTにはイマチニブ以外にも種々の治療法があります。代表的な方法には、抗癌剤、炭酸ガスレーザーによる拡大手術、メガボルテージ放射線、インターフェロンγなどがあります。

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I F N 検 査 ( インターフェロン - γ )  

概 略
 インターフェロン-γを腫瘍に直接、あるいは皮下注射することで腫瘍を治癒に導く方法です。ただし単独療法での完治は難しく、各 種の腫瘍の増殖を抑制、あるいは、腫瘍細胞を減少させる補助療法です。特に抗癌剤や放射線に感受性の低い腫瘍に対しては数少な い治療法の一つとなることがあります。

適 応
  扁平上皮癌
  メラノーマ
  肛門周囲アポクリ腺癌
  リンパ腫
  肥満細胞腫

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