去 勢 お よ び 避 妊 に お け る 糸 を 使 わ な い 手 術 法 に つ い て

EXP=1322925439.jpg去勢や避妊手術を行う際、血管を縛る(結紮)必要があります。その際に使用する糸の種類は、各病院好みやこだわりがあり、これが正しくてこれが正しくないという事は一概にはいえません。しばしばいわれていることは、糸を使用すると、時として糸に反応して肉芽腫と呼ばれる塊ができてしまうことがあるということです。こういった場合には、再手術による肉芽腫および糸の摘出や、長期におよびステロイドの投薬が必要となることがあります。リガシュアシステムにより卵巣動静脈をシーリングおよび切断することで、この部位に肉芽腫が生じるリスクがなくなります。7mmまでの血管をシーリングすることができるため小型犬から大型犬まで適応が可能です。


手術方法 肉芽腫の心配 手術時間
手術時の安全性の差
コスト
糸による手術 わずかにある 長い なし 安い
リガシュアシステム なし  短い なし 糸よりも高い


 
去 勢 手 術


 去勢手術とは睾丸をとる手術です。通常ワンちゃんにおいては陰嚢(袋)を切ると皮膚炎を起こしたり傷のつきがわるいために睾丸を上位(臍側)に移動して、睾丸のやや上を切開します。猫ちゃんにおいては陰嚢自体を切開します。いずれにおいても切開は1つであり、2つの睾丸を一つの切開ラインから外に出します。体内にはできる限り糸を残さないために外側はおよそ1週間後に抜糸をします。抜糸後2〜3日でシャンプーができるほどに回復いたします。


去 勢 手 術 の メ リ ッ ト

 マーキングの予防、おとなしくさせる(凶暴性の減少を含む)、飼いやすくする。という目的で手術を選択されるかたが一番多いように感じます(犬猫共通事項)

 前立腺肥大の防止についてですが、老齢になるとほぼすべての個体(90%)に前立腺肥大は生じてきます。しかしながら症状を起こす子はさほど多くはなく(60%)、また症状を起こしてから去勢を行っても効果があります。まれに前立腺肥大による「いきみ」から会陰ヘルニアを起こすこともあります。(ワンちゃんのみ)

 肛門周囲腺腫という良性腫瘍がありますが、これは男性ホルモンに依存してできる腫瘍ですので、去勢しておくことで発生を予防することが可能です。(ワンちゃんのみ)


精 巣 の 腫 瘍

 セルトリ細胞腫、ライディッヒ細胞腫、セミノーマという3つの腫瘍が生じますが、去勢をしておくことで予防が可能です。(ワンちゃんのみ)
例外として、潜在精巣(お腹に精巣がある=精巣が陰嚢に降りてきていない=陰睾と同義語)の場合には、手術を強くお奨めします。通常、精巣腫瘍は1%とされておりますが、腹腔陰睾の場合には、その発生率が9〜13.6倍上昇するとされております。また鼠径陰睾(お腹ではないが、股間の部分に精巣が存在する場合)の場合には、正常の4倍、腫瘍が発生しやすいとされております。このような場合には、様子を見るのではなく、早めの処置を心がけましょう。
(潜在精巣の診断は満7ヶ月齢の時点で判定するのが良いとされています。)


去 勢 手 術 の デ メ リ ッ ト ①

 肥満に注意が必要です。去勢手術を行うことで生体の必要エネルギーが15-20%減少するからとされています。つまり、去勢手術前と同じ量のフードを与えてしますと、必ず太る傾向にあるということになります。ですから、パッケージに書いてある量よりも最低10%、できれば15%ほど減少させた量をあげることが必要です。つまり去勢をしたあとは、6ヶ月齢であっても成犬用あるいは成猫用(1才以上)を使用する、あるいは、肥満犬用あるいは肥満猫用を使用することでたくさん食べて満腹感を得、かつ太りにくいというフードの選択が推奨されます。(犬猫共通事項)


去 勢 手 術 の デ メ リ ッ ト : ★ 猫 ち ゃ ん の み ★

 尿道の成長と男性ホルモンは関係するとの学術報告がございます。しかしながら、統計上はまだ確認された事項ではありません。つまりこの学術報告が正しければ早期去勢をした猫ちゃんは尿道の太さが細いために尿が詰まりやすくなる(尿閉)病気にかかりやすくなります。しかし、ほぼ全例で尿閉を起こしている子は肥満であるという事実もあります。つまり、早期去勢により尿道が細いためにこの病気が増加しているのか、去勢をしたために肥満傾向となるためにこの病気が増加しているのかまだわかっておりません。マーキングに関していえば、マーキング行動が生じる前に去勢を行えば、マーキングが出現する確率が圧倒的に低くなるという事実があります。ここで、マーキングの抑制をとるか、尿閉の学術報告をとるかは難しいところではありますが、私の意見としましては、「もし去勢を選択するのであれば、決して肥満させない」という事であると思います。

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避 妊 手 術

 避妊手術は臍の下を数cm切開します。卵巣を切除するために使用する糸は「サージロン」とよばれる袋毎に滅菌されたナイロン糸を使用します。もしくは前述の「リガシュア」により糸を使用しない手術を行うこともできます。
術後はテガダームというセロファンが貼られ少し舐めたとしても問題ない状態になっております。エリザベスカラーはお渡ししますが、少し舐めたくらいでは問題なく執拗に傷口を舐める子以外ではエリザベスカラーの装着も必要ございません。抜糸は8日〜10日後で抜糸後2〜3日でシャンプーを行うことができます。


避 妊 手 術 の メ リ ッ ト

 避妊手術はいつ行うべきでしょうか? 初回生理(犬種によって異なりますがおよそ7ヶ月齢~12ヶ月齢の間)が来る前と来た後に手術をするのでは、乳腺腫瘍の発生率に大きな差を生じます。初回発情前に避妊手術を行うことで、将来できるかもしれない乳腺腫瘍の発生率を1/200に減少させることが可能です。しかしながら、1度でも生理が来てしまうと、発生率は1/20まで上昇します。その後、生理が来るたびに1/12 → 1/4〜変化なしに上昇し、その後は発生率は変わらないとされています。以上の理由から当院では6ヶ月齢までに飼主のかたに決定していただくようにお話しております。
また、子宮蓄膿症、卵巣腫瘍は卵巣がなければ生じませんので、何歳で手術を行っても完全な予防が行えます。その他、てんかん発作やアカラス(毛包虫)を現在患っている子では、症状を抑制する効果があります。
もし避妊手術を行わない場合は子供をつくり、繁殖をさせたほうが病気が減少するとされています。


避 妊 手 術 の デ メ リ ッ ト ① : 肥 満

 肥満に注意が必要です。避妊手術を行うことで生体の必要エネルギーが15-20%減少するからとされています。つまり、避妊手術前と同じ量のフードを与えてしますと、必ず太る傾向にあるということになります。ですから、パッケージに書いてある量よりも最低10%、できれば15%ほど減少させた量をあげることが必要です。つまり避妊をしたあとは、6ヶ月齢であっても成犬用あるいは成猫用(1才以上)を使用する、あるいは、肥満犬用あるいは肥満猫用を使用することでたくさん食べて満腹感を得、かつ太りにくいというフードの選択が推奨されます。(犬猫共通事項)


避 妊 手 術 の デ メ リ ッ ト ② : 性 格

 ほとんどすべての個体では変化いたしません。しかしながら、まれにみる凶暴性などがあり、飼主のかたご自身が身体を噛まれ過去に病院で手術されたなどという場合には、避妊手術は行わないほうが良いでしょう。つまり女性ホルモンは「やさしさ」「おとなしさ」に関与するホルモンであり、これを「切除」してしまうので凶暴性が悪化するわけです。これは特発性凶暴性(原因不明の凶暴性)を有する犬種にあてはまることが多いとされています。通常の場合は心配する必要は全くありません。ほとんど変化がないと思っていただけると良いと思います。


避 妊 手 術 の デ メ リ ッ ト ③ : 失 禁

 これも②と同様、滅多にみることはありません。多くの場合は、寝そべって起き上がるとその部位が尿で濡れているといった症状だと思います。正確には「膀胱後方変位症」といいます。「フェニルプロパミン」の投薬により薬剤から離脱しても完全に治癒することもありますし、投薬時だけしか治癒させることができないこともあります。大事なことは、尿失禁というまれにみるデメリットと、非常に多発する乳腺腫瘍や子宮蓄膿症を天秤にかけたときにいずれの重要性が高いか? という事であると思います。

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外 科 料 金  

犬 の 避 妊 手 術 ( TAX含む )
 術式、安全性などは「外科」の項目をご参照ください

・0.0 kg - 5kg 未満 : 38800円 リガシュア法:48800円
・5.0 kg - 10kg 未満 : 41040円 リガシュア法:51040円
・10 kg - 14kg 未満 : 48600円  リガシュア法:58600円
・14 kg - 21kg 未満 : 51840円  リガシュア法:61840円
・21 kg - 30kg 未満 : 59400円  リガシュア法:69400円
・30 kg - 40kg 未満 : 64800円  リガシュア法:74800円

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犬 の 去 勢 手 術( TAX含む )

・0.0kg - 5kg 未満 : 21600円  リガシュア法:31600円
・5.0kg - 10kg 未満 : 24840円  リガシュア法:34840円
・10kg - 14kg 未満 : 27000円  リガシュア法:37000円
・14kg - 21kg 未満 : 34020円  リガシュア法:44020円
・21kg - 30kg 未満 : 41040円  リガシュア法:51040円
・30kg - 40kg 未満 : 48600円  リガシュア法:58600円

・上記すべてにおいて、チワワ、フレンチブル、ブルドッグ、パグ、サイトハウンドに関しては3240 〜 5400円がプラスされます。
・5才以上で上記手術を行う場合には、5400円がプラスされます。
・9才以上で上記手術をお粉場合には、10800円がプラスされます。

猫 の 避 妊 手 術( TAX含む )

・一律:32400円  リガシュア法:42400円

猫 の 去 勢 手 術( TAX含む : 日帰り )

・一律:16200円  リガシュア法:26200円

・上記いずれの手術(猫の去勢を除く)も1泊2日となります。抜糸は7〜10日後となります。上記料金には下記料金が含まれます。
 事前身体検査、麻酔が可能かどうかの血液検査、麻酔、手術、入院、一週間後の再診および抜糸代金



 
麻 酔 の 安 全 性 に つ い て
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 「去勢手術や避妊手術で麻酔から覚めなかった」「動物病院での全身麻酔は怖い」。「高齢だからもう麻酔はできない」そんな噂を 聞いたことはないでしょうか? それらはすべて過去の話です。心配はいりません。医療の進歩は日進月歩です。手術自体は去勢は 5分、避妊は30分で終了します。場合によってはよって、術後の痛みや精神的ストレスを2~3日ひっぱってしまう場合もございます が、ほとんどの場合、手術翌日の退院の日には驚くほど元気な姿で飼主のかたを迎えてくれます。

 泉門の開口しているチワワ(ペコがある)や短頭種(フレンチブルドッグなど)では麻酔に弱い、麻酔が危険という情報がネットな どでも多く流れております。たしかに、安易に選択した麻酔薬でチワワに麻酔をかけたり、管理不足による短頭種の麻酔、サイトハ ウンド(ウィペット)など筋肉量の少ない犬種での麻酔大量急速投与を行うことは危険です。したがって、安易な麻酔選択や管理に より世の中には麻酔事故が起きてしまっている例が少数ながらあるのかもしれません。こういった情報が増幅されて、これらの犬種 に麻酔をかけるのは危険であるという情報が非常に一般化されてしまったのかと思います。他項にも記載しておりますが、私自身は サイトハウンド、特にイタリアングレーハウンドの麻酔が一番難しいのではないかと考えております。その導入の際に生じる問題点 に関して、当院では生じる事を前提に薬剤を用意しており、そこに対処することですべて問題なく手術終了しております。手技、経 験、麻酔薬の選択に誤りをおかさなければこれらの犬種に麻酔をかけることと他の犬種に麻酔をかけることにおける安全性は同一と 考えていただいてかまいません。また麻酔薬は体表面積あるいは体重で量を決定するわけですから、小さいから危険という事はありません。

 肝臓、腎臓、心臓、肺の問題。この4つの臓器が健常であること。それに加え、中高齢動物では、糖尿病、甲状腺機能低下症、クッ シング症候群。この3つのうちひとつでも罹患していれば麻酔は危険と考えております。

 当院では術前の血液検査、最新のモニター機器とイソフルレン麻酔により極めて安全な麻酔方法を行っております。また私(院長) がすべて導入および気管挿管を行うようにしております。老齢時疾患時にも、プロポフォール&アクトシン麻酔法を使用し、より体 に配慮した麻酔方法を行っております。年齢が15才を超えていれば術前点滴、術前酸素投与をおこなったあとに、きわめて緩除に麻 酔を導入し、維持麻酔に切り替えます。また術中点滴も行い、腎臓への負担を軽減するするようにしております。術後の覚醒が悪い 場合には、酸素室にいれ状態の安定をまちます。総合的に考え現在では人間と同等のリスクと考えます。

 リスク判断
 正確かつきちんとした施術をおこなったとしても亡くなる場合もございます。しばし脳疾患を抱えている子でCT/MRI撮影時に亡くなるような子がおります。しかしそれを事前に判断することは不可能です。一般的状態がよく、食欲があり、聴診上問題がなく、健康的であればきわめて低いと考えられますが、アレルギーを含め100%安全な麻酔はないことをご了承ください。


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当 院 の 全 身 麻 酔 件 数  
・当院の手術日は月曜、火曜、金曜、土曜になっております。基本は1日2〜3の手術をおこなっておりますので、月に32〜40件。年間では年末年始の手術を省いたとしても、最低でも350件の全身麻酔を行っております。

・当院による麻酔による死亡件数:およそ1/1500

 手術をご希望の際には上記をご了承の上、手術を依頼してください。また手術予約表を受領された患者様は上記を理解されたことといたします。

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