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歯 科 医 療 と は
歯石除去、歯垢除去は口臭予防だけでなく人間と同様に健康維持に大変重要なケアです。超音波スケラーと研磨(ポリッシング)の目的には、歯垢、歯石の除去だけでなく、再び歯垢、歯石をつきにくくするように表面を滑沢化することも含まれております。歯肉退縮を起こしている子ではルートプレーニングにより歯肉の再生をはかります。当院ではX線撮影の際、通常のX線だけでなく、歯科専用のデジタルX線も完備しております。現状と数年後、個々の歯について比較対象することが可能です。


 
内 容
 虫歯治療(根管治療)、破損歯の修復(歯冠形成術)、前歯(切歯)の歯周病の治療。クラウン・ブリッジ、銀・金・エステニア・メタルボンド・ジルコニウムいずれの材料においても形成できます。
難治性歯肉炎、歯周病。慢性口内炎、歯肉形成術、レーザー治療


 
医 療 方 針
 当院では週に平均6〜7件の歯科手術、年間350件以上の歯科手術を行っております。
診療に関しては、歯科診療だけで年間1500件以上診療しております。歯科診療でポイントとなる点は犬種差によるウィークポイントが異なることの把握、犬種により推奨される手術法が異なるという点にあります。たとえば、6才齢のミニチュアダックスの歯科を診療した際、
 ①全犬種における6才齢における歯の状態との比較。
 ②6才のミニチュアダックスにおける歯のアベレージな状態との比較。
 ③6才のミニチュアダックスにおいて、ある手術法あるいはある種の治療を施した際の治癒の傾向。
 ④麻酔をかけずに治療に結びつく範囲でのレントゲンを撮影できること。
 ⑤切歯(前歯)は多くの子において麻酔なしでレントゲンを撮影できること。
 ⑥かなりの高齢であっても安心して麻酔をかけることができること。
 ⑦すべてにおいて麻酔を推奨するのではなく、どの様な重篤な状態でも、最終的にはご家族の意思で「無麻酔」による治療もできる場合が多いこと。
 ⑧術後はご家族のかたが「歯を磨ける」あるいは「磨けない」、「ケアが全くできない」「ケアが少しできる」「なにもできない」のいずれでもよりよい状態をキープできる状態でのメンテナンス。

以上の診療、診断、治療、外科治療、メンテナンスを受けることができます。またすべての処置において、当院は入院させることなく、「すべて日帰り」になります。

 成書(教科書)に従った診断および治療は時としておもわぬ間違いを生じさせることがあります。当院ではそういった間違いをなくし、診療あるいは歯科手術の技術に差を生じないように、診療および歯科手術はすべて私一人(院長 伊藤)で行っております。治療法は人間の応用、あるいはペットにおける歯科治療の定法には従うものの、その中には当院独自の方法がいくつかございます。たとえば、歯肉を縫合する糸について考えてみます。吸収糸や非吸収糸、単繊維と多繊維とありますが、歯肉の状態、犬種によって異なる縫合糸を使用しております(ex イタグレはAAという糸で縫合すると歯肉がつかないなど)。まずこの4種類の糸からなにを選択するかが重要です。またあらゆる銘柄の糸を試してみた結果、同じタイプの縫合糸であっても銘柄(ブランド)によって結果に大きな差が生じることがわかりました。サージカルパック(歯科用包帯)に関しても薬剤と混合液の比は人間と異なるバランスによってはじめてペットに有効にはたらくこともわかりました。いずれも日々の手術と治療にすこしづつ改良を加えた結果です。

 当院では初回の初診、あるいは手術まで麻酔をかけません。本来は逆斜位撮影によって歯の状態を確認すべきなのですが、通常斜位撮影と角度の調整により、無麻酔で歯の状態を確認しております。切歯(前歯)に関しましては、ほとんどの子で無麻酔にて完全なデジタルX線の撮影が可能です。続いて実際の処置についてのお話をさせていただきますが、本質的には麻酔をかけて手術を行うことと、麻酔をかけないで手術を行うことは全く別の処置であることをご理解いただきたいと思います。しかしながら、重要な事は、しばしばご家族の方の求める歯のゴールと医師がもとめる歯のゴールが違うということです。当然、予後を考え必要な子には麻酔をおすすめいたしますが、当院では闇雲に麻酔をかけて歯科手術を行うのではなく、麻酔をかけなくてよい場合には麻酔をかけないで歯科処置を行います。当院では、ご家族の方のご意見を重要視するために、その子が将来どういう歯、歯肉、歯周病になっていくかを想定し、ご説明し、現状における最善の治療をおすすめいたします。人間の歯周病に当てはめて診断および治療してしまえば、特に切歯(前歯)は多くの場合に抜歯する事になってしまいますが(人間で当てはめた場合の歯周病CLASS4など)、人間もそうであるように、リスクのお話はさせていただくものの、実際に抜歯するかどうかはご家族の方に決めていただくことが歯科医療として重要であるとおもっております。以上より、当院ではご家族の方のご希望もあり、切歯(前歯)を抜歯することを極力控えるスタイルとなっております。
 続いて歯科医療機器ですが、当院では獣医用の歯石除去機器をあえて使用しておりません。獣医領域で使用される歯石除去機器は、ペットの歯のためを考えた設計ではなく、獣医師がいかに早急にわかりやすく歯石をとれるかどうかに留意した機器である場合が多いと考えるからです。当院には歯石除去機器を2台用意しております。1台目はペットの苦痛をやわらげ、歯面に傷をつけずよりよい状態をキープするための機器。2台目はあえて歯面を乱雑にしたり削り取るのに有効な振動性の高い超音波製品を用意しております。後者の機器は歯面に対して、顕微鏡学的凹凸を作成し、歯の表面に塗布したコーティング剤の接着率を高めるために行います。コーティングとは、フッ素の塗布(歯面強化および平滑さによる歯垢、歯石再付着の防止)とはことなり、車のガラスコーティング(経年した車のボディを新車の輝きにするような技術)に類似した技術とお考えください。
 次にペット。特に、ワンちゃんにおける最大の問題。歯周病についてお話しします。歯周病は歯肉の病気ではなく、骨の病気と考えるべきです。また本質的には、歯の根元に存在する象牙質の変質に対する改善を行わなければ根本的解決には結びつきません。実は人間の先端医療をもってしてもまだ完璧な方法は見つかっておりません。培養による抗生物質の選択、抗真菌薬、レーザー、GTR法、EMD法、PRP法、骨移植、いずれもヒトでさえも必ずしも良好な結果をもたらしません。当院ではこれらすべてを応用し施術しております。たとえば、MWF/FOp切開法(歯肉フラップ術)による持ち上がってしまった歯肉を元の状態に戻す手術に関しましては、人間では適応外とされるCLASS3以上の歯周病であっても犬種と歯肉の状態によっては治療が可能な場合があります。
どんなにご家族の方が努力してブラッシングを行ってもうまくいかない例もございます。また、非常に悪い状態であっても良好な状態に改善することもございます。その差は、個体差といってしまえばそれまでですが、犬種、年齢、その子の体格、血圧の状態。ご家族の方によるブラッシングが可能かどうか。これらが組み合わさって予後が決定されるように思われます。
 最後になりましたが、当院では、高度医療(ヒトの保険外診療にあたる施術方式)を理想としているのではなく、基本は、ワンちゃん、あるいは猫ちゃんが痛いのか、痛くないのか? それを治療して、生活の質向上が望めるのか? 審美的な事だけなのか、などを考慮し、最終的にご家族の方がどのような治療をご希望であるか? ということが一番大切なことだと思っております。
さらなる努力と経験を重ね、よりよい治療を行えるよう日々努力していきたいと思っております。


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診 療 お よ び 治 療 の な が れ
  ①ご来院。初診の際にはご予約は必要ございません。
   ※歯科初診の場合、お時間がかかるために、各午前および午後の診療終了の1時間前までにご来院ください。

  ②診 療:初診の際にはレントゲンを撮影する場合がございます。レントゲンは麻酔や鎮静をかけずにおこないます。側面もしくは前歯(切歯)のいずれかあるいは両方撮影する場合がございます。

  ③視診およびレントゲン検査結果から、現在の状況の確認および当院で推奨する治療方針にてご説明させていただきます。

  ④基本的には診療終了後、ご予約をいただき後日、治療を行います。
   ※混雑状況、歯の状況によって麻酔なしでOKと判断された場合、当日に行える事もあります(確実ではございません)
   ※麻酔をかける処置の場合には当日の処置は行えません。麻酔処置が必要な場合には、絶食管理についてスタッフからご説明があります。

  ⑤手術当日:午前の9:00〜10:30の間にご来院いただきます。
        午後3〜4時までの間に「無事、手術が終了した旨」を伝えるお電話を差し上げます。
        お迎えは午後4:30〜6:30の間になります。

        ※当院ではいずれの場合にも入院はありません。


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麻 酔 を か け な い レ ン ト ゲ ン 検 査 で わ か る こ と

  当院では初診時には麻酔も鎮静もかけません。通常は開口して斜位撮影。あるいはヒトのように、口腔内の内側にレントゲンフィルムをあて、それに向かってレントゲンを照射するということが正しい方法です。ただこの方法には必ず麻酔が必要となってしまいます。診察のために麻酔をかけて、いざ手術の時に2回目の麻酔をかけるというのは、本質的には正しい方法ですが、麻酔をかけられてしまうペットの事、ご家族の気持ちを考えれば、やはり麻酔は一度ですませたいものです。当院では特殊な角度および照射するレントゲンの強さ。あるいはデジタルレントゲンをDIY(do it your self)にて加工し、麻酔なしでも前歯(切歯)あるいは臼歯のレントゲンを撮影し、読影する方法を用いております。



それではレントゲン撮影をおこなった後のカルテについて見てみましょう。まずは動画をご覧ください。




 レントゲンを撮影し、歯周病の部分を黒く塗っていきます。歯周病とは「骨が溶ける病気」ですから、歯は「黒くない部分」で支えられていることとなり、黒い部分が多いほど「支える骨の量が少ない」すなわち動揺する可能性が高いということになります。またこのカルテを見ることで、多くの子で、「利き顎」がわかり右、あるいは左のいずれかを多く使っていることもわかります。また症例によっては、右で噛んでいたいた子が、あまりの痛さに左を利き顎に変更した。というような事もわかります。それは歯周病になってからの時間の経過がレントゲンからも推察されるからです。

 ①骨の融解(歯周病)を「黒色」で描写します。
 ②先天性の歯の欠損。あるいは以前に抜いた歯を削除します。
 ③抜歯が推奨される歯について「黄色」で描写します。
 ④抜歯の有無を患者様にゆだねる部位を「赤色」で表現します。
  ※普段ケアできない。噛まれる。非常に暴れるなど性格も考慮の上、決定いただきます。
 ⑤手術の際に抜歯の有無をその時の状況で決めさせていただく歯について「緑色」で表現します。
 ⑥乳歯を「青色」で表現します。

このような形でご家族の方にお渡しいたします。




 
続いて麻酔をかけた時のプローブングカルテを見てみましょう。
プローピングとは、歯周ポケットの深さを計測する器具です。これによって、レントゲン(平面)だけではわからない歯の立体構造を想像することが可能です。
何が重要か? ということが一番大切な部分ですが、レントゲンのカルテだけだと、どこに歯周病の治療ポイントをおいてよいかわかりません。ご自宅での歯周病対策のサプリや薬剤などを塗布する場所、あるいはウィークポイントの把握に不可欠であるといえます。
ヒトでは麻酔なしでも行える処置なのですが、ペットでは残念ながら麻酔なしでは行えません。局所麻酔で行うことは不可能ではありませんが、現実的ではなくそのためのペットの苦痛を考えると、今後も麻酔時のみにできる処置といえましょう。
当院では術後にこちらの簡易書類をお渡ししてどこを注意すべき(丁寧に磨くべきか)をお伝えしております。

正常範囲の歯周ポケット


深い歯周ポケットを形成しているものの、歯茎は痩せていない状態


深い歯周ポケットおよび歯茎も痩せている状態




このような形でご家族の方にお渡しいたします。


*初診時におけるご説明。手術時におけるご説明がおおきく変わりました(2015/9〜)
私自身がもし人間の歯医者さんに行った時、こんな書類をいただけたら本当に役立つのではないかなと思うことを形にしてみました。獣医業界には歯周病や歯槽骨の欠損をipadでご説明するようなアプリケーションは存在しませんし、今後も発売されるようなこともないと思います。自作という方法がもっともかゆいところに手が届く方法であり、アプリケーションというほどたいそうなものではありませんが、以前よりもより細かなところにまで解説ができるようになったように実感しております。



それでは各々の疾患における治療法をみていきましょう。 各疾患の治療のページへ移動


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